大学や専門学校に進学するには、多額の学費と生活費がかかります。親からの援助だけでは足りず、「どこからか現金を用意したい」と考える学生は少なくありません。そんなとき、目に入るのが「学生ローン」という選択肢です。
ただし、「学生ローンはやめたほうがいい」という警告も、インターネット上では頻繁に見かけます。本当に避けるべきなのでしょうか?それとも、正しく使えば有用な選択肢なのでしょうか?
この記事では、学生ローンの実態、奨学金や教育ローンとの違い、メリット・デメリット、そして返済に困った場合の対処法を、わかりやすく解説します。借りる前に知っておくべき知識を、ぜひ参考にしてください。
学生ローンとは何か
学生向けローンの定義と仕組み(誰が借りる/返済義務)
学生ローンとは、学生本人が貸金業者(消費者金融など)から直接借り入れるローンのことです。
返済義務は、借主である学生本人にあります。親が保証人になることもありますが、基本的には学生自身がお金を返さなければなりません。
学生向けローンの特徴:
- 学生本人が申し込み、本人の信用情報を基に審査される
- 利息は日々発生し、返済するまで増え続ける
- 返済は通常、卒業後に本格化する
- 延滞すると、督促や法的措置の対象になる
申し込み条件(年齢・学生証・アルバイト収入などの目安)
学生向けローンの申し込み条件は、貸金業者によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
年齢:18歳以上(一部は20歳以上)
学生であることの証明:学生証の提示が必須。定期的な確認も行われることがある
安定した収入:アルバイト収入があることが条件。月1~2万円程度の収入が目安とされることが多い
その他:連絡先、親の連絡先などの個人情報提供
利用される主な目的(学費以外の生活費・急な出費)
学生向けローンが利用される目的は、以下が主です。
- 生活費:食費、家賃、光熱費など毎月必要なお金
- 学費の一部:奨学金や親の援助で足りない分
- 急な出費:医療費、冠婚葬祭の費用、車の修理代など
- 教科書・実験用具:学科に応じた専門的な物品購入
- 交際費・娯楽費(本来は避けるべき)
注目すべきは、このようなローンは「学費のための専門ローン」ではなく、「学生が借りられるローン」という位置づけということです。つまり、使途は比較的自由です。
奨学金・教育ローンとの違いを整理する
奨学金(給付型/貸与型)の特徴と返済タイミング
奨学金には、大きく2つの種類があります。
給付型奨学金(返済不要):
返済する必要がない奨学金。主に経済的に困難な学生が対象。ただし、支給基準は厳しく、誰もが利用できるわけではありません。
貸与型奨学金(返済必要):
借りたお金を、卒業後に返済する奨学金。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金が代表的です。
貸与型は「借金」になる点と金利・返済負担
重要なポイントとして、貸与型奨学金は「借金」です。返済の責任がある点では、学生向けローンと変わりません。
ただし、奨学金の特徴は以下の通りです。
- 金利が低い:第一種奨学金は無利息、第二種奨学金は年3%程度
- 返済期間が長い:通常15~20年のスケジュール
- 在学中は返済不要:卒業後から返済が始まる
- 返済が厳しい場合の支援制度がある:返済の猶予や減額制度
返済が厳しい場合の具体的な制度については、返還期限猶予制度もあわせて確認しておくと安心です。
教育ローンの特徴(主に保護者が借りる)
教育ローンは、通常、学生の保護者が借り入れるローンです。
教育ローンの具体的な内容は、教育一般貸付(教育ローン)を確認するとイメージしやすいでしょう。
特徴:
- 申し込みは親が行い、親が返済責任を負う
- 学費の支払いに特化している(銀行の教育ローンなど)
- 金利は学生向けローンより低く、奨学金より高いことが多い(年2~4%程度)
- 金額が大きい傾向(学費全額をカバーできる)
金利水準の傾向と利用時の注意
教育ローンは、金融機関によって金利が異なります。銀行の教育ローンは年2~4%程度、信用金庫は年3~5%程度です。
注意点は、金利が「固定」か「変動」かによって、返済額が大きく異なることです。固定金利なら計画的に返済できますが、変動金利の場合は返済額が増える可能性があります。
実際の利用者の声を知りたい場合は、教育ローン利用者の体験談も参考になります。
学生ローンを選ぶ前に比較すべきポイント
金利・返済総額・返済開始時期・審査・家族への影響
学生向けローン、奨学金、教育ローンの比較表を以下に示します。
| 項目 | 学生向けローン | 奨学金(第二種) | 教育ローン |
|---|---|---|---|
| 金利(年率) | 12~18% | 3%程度 | 2~4% |
| 借入上限 | 50万円程度 | 月10~12万円 | 数百万円 |
| 在学中の返済 | あり(利息のみ等) | なし | なし(親が返済) |
| 返済開始時期 | 借入直後または卒業時 | 卒業後6ヶ月後 | 借入直後 |
| 審査難易度 | 低い(学生ならほぼ通る) | 中程度 | 中程度 |
| 家族への影響 | 小(学生本人のみ) | なし | 大(親が返済責任) |
学生ローンが「やばい」「やめたほうがいい」と言われる理由
収入が不安定で返済計画が崩れやすい
このようなローンが危険視される理由の筆頭は、学生の収入が不安定である点です。
アルバイト収入は、以下の理由で変動しやすいです。
- 試験期間中はシフトが減り、収入が減少
- 就職活動の時期には働けなくなる
- 病気や怪我で働けなくなる可能性
- バイト先が営業停止や経営困難に陥る可能性
これらの事情で「返済できる見込みで借りたのに、途中で返済が困難に」という状況が発生しやすいのです。
返済遅延のリスク(督促・遅延損害金・法的手続き)
返済が遅れると、以下のリスクが生じます。
督促:貸金業者から電話やメール、郵送で催促が来る。学生であっても、この督促は容赦ありません。
遅延損害金:返済が遅れると、元々の金利に加えて「遅延損害金」(通常年20%)が加算されます。つまり、返済が遅れるほど、返済すべき金額が増えていくのです。
信用情報への記録:返済遅延が信用情報に記録され、その後のローンやクレジットカード審査に影響します。
法的手続き:長期延滞が続くと、貸金業者は簡易裁判所に訴えを起こし、給与差し押さえなどの法的措置を取ることもあります。
信用情報への影響(カード・ローン・携帯分割など)
このようなローンの利用は、信用情報に記録されます。これが後々の人生に影響するのです。
- クレジットカード:就職後、クレジットカード申請時に審査に落ちやすくなる
- 住宅ローン:家を買う時に、ローン審査で不利になる可能性
- 携帯電話の分割購入:スマートフォン購入時、分割払いが使えなくなる
- 教育ローン:子どもの教育費を借りたい時に、親としての信用が失われている
違法業者(闇金)混在の可能性と見分け方
学生向けローン市場には、残念ながら違法な貸金業者(ヤミ金)も混在しています。
違法業者の見分け方:
- 金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」に記載されていない
- 「審査なし」「誰でも借りられる」と謳う
- 年100%を超える高い金利を提示
- 本人確認書類の他に、身分証のコピーや担保を求める
- SNSで「学生融資」と勧誘してくる
学生ローンのメリット(利用される背景)
18歳・19歳でも利用できる場合がある
このようなローンは、成人していない18~19歳でも申し込める場合があります。これは、クレジットカードや銀行ローンでは難しい点です。
高卒で働きながら進学する学生など、早期に資金が必要な場合、このようなローンは有用な選択肢になり得ます。
学生であることが審査で致命的に不利になりにくい
通常のカードローンでは、「学生」であること自体が審査で不利に働きます。しかし、学生向けローンは「学生向け」なので、学生であること自体は審査で不利にならない傾向があります。
つまり、アルバイト収入さえあれば、比較的簡単に審査を通す可能性があるのです。
家族に知られにくい設計のサービスがある場合
貸金業者によっては、申し込みから返済まで全てオンラインで完結する場合があります。郵送物が少なく、親が気づきにくいというメリットがあります。
ただし「完全にバレない」は言い切れない理由
しかし、完全に隠し通すことは難しいでしょう。理由は以下の通りです。
- 返済に遅れると、電話連絡が親の番号にいく可能性
- 実家に帰省時に、郵送物が届く可能性
- 親が本人の給与口座を確認した時に、返済額が見える
- 就職活動の書類作成時に、ローン情報が見える
学生ローンのデメリットと注意点
利用可能額が小さく、必要額に届かないことがある
学生向けローンの借入上限は、通常50万円程度です。学費全額が必要な場合、この額では足りません。
その結果、複数のローンに申し込んで、多重債務に陥るケースもあります。
金利が高めで、無利息期間がないケースもある
学生向けローンの金利は、年12~18%程度。奨学金(3%)や教育ローン(2~4%)と比べると、大幅に高いです。
また、消費者金融のカードローンのように「30日間無利息」といった特典がないことが多いのも、このようなローンの特徴です。
返済方法が振込中心で、返済忘れが起きやすい
学生向けローンの返済は、指定口座への振込が中心です。銀行のように「引き落とし」ではないため、返済忘れが起きやすいのが難点です。
返済忘れの遅延は、信用情報に記録される可能性があります。
借入・返済履歴が信用情報に残る
このようなローンの利用は、信用情報に記録されます。これが、就職後の人生に影響する可能性があります。
総量規制など法的な借入上限の考え方
貸金業法には「総量規制」という規制があります。これは、「年収の3分の1を超える借入ができない」というルールです。
年収の範囲で借入が制限される仕組み
例えば、月5万円のアルバイト収入がある学生の場合:
年収 = 5万円 × 12ヶ月 = 60万円
借入限度額 = 60万円 × 1/3 = 20万円
つまり、年収60万円の学生は、最大20万円までしか借入できないのです。複数のローンに申し込んでも、合計20万円が上限です。
学生ローンの代替手段(優先順位つきで検討)
親・家族から借りる(トラブル防止の工夫)
最も優先すべき選択肢は、親や家族から借りることです。理由は、金利がかからず、返済が必須ではないからです。
借用書・返済期日・利息の取り決め
ただし、トラブル防止のため、以下のポイントを押さえましょう。
- 借用書を作成:いくら借りたのか、いつまでに返すのかを明確にする
- 返済期日を決める:「卒業後1年で返す」など、具体的な期日を設定
- 金利の有無を明確に:無利息なのか、少額の利息をつけるのかを事前に決める
奨学金を検討する(条件と申請の流れ)
奨学金(JASSO)は、学生向けローンより金利が低く、返済支援制度も充実しています。
申請の流れ:
- 学校の学生支援課に相談
- 奨学金説明会に参加
- 願書を提出
- 審査を受け、採用決定
ただし注意点:奨学金は進学時の申し込みが中心であり、途中申し込みは難しい場合があります。
銀行カードローン(学生可否と審査難易度)
銀行によっては、学生でもカードローンを利用できる場合があります。金利は学生向けローンより低い傾向です。
ただし、審査難易度は高く、アルバイト収入だけでは通りにくい可能性があります。
クレジットカード(ショッピング/キャッシングの違い)
クレジットカードの「キャッシング」機能で現金を借りることもできます。金利はカード会社によって異なりますが、学生向けローンと同等か若干低い傾向です。
ただし注意:クレジットカードでも利用が信用情報に記録され、後々の審査に影響します。
質屋(向いているケース・注意点)
質屋は、品物を担保にしてお金を借りる方法です。メリットは、信用情報に記録されないことです。
向いているケース:急な出費で、短期的に少額の現金が必要な場合
注意点:手数料が高く、期限までに返さないと品物が売却されます。
定期預金の自動貸付(仕組みとメリット・落とし穴)
銀行の定期預金を担保に、その一定割合(通常70~90%)を借りることができるサービスがあります。
メリット:審査が簡単で、金利は低い(通常年0.5~2%)
落とし穴:借りると定期預金が解約されてしまう点。貯蓄の道が塞がれます。
学生ローンを利用するなら守るべきチェックリスト
正規の貸金業者か確認する方法
学生向けローンを利用する場合、まず確認すべきは「正規の業者か」という点です。
確認方法:
金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」(https://kinsyou.fsa.go.jp)で、業者名を検索し、登録がされているか確認してください。
登録がない業者は、ヤミ金である可能性が高いです。
返済総額(利息込み)を試算してから借りる
借りる前に、必ず返済総額を計算してください。
例:10万円を年15%金利で1年かけて返す場合
利息 = 10万円 × 15% = 1万5000円
返済総額 = 10万円 + 1万5000円 = 11万5000円
「月々いくら返すのか」「返済期間はどのくらいか」を事前に確認し、実際に返済できるか判断することが重要です。
返済日管理の仕組みを作る(延滞を防ぐ)
学生向けローンは返済忘れが起きやすいため、以下の対策をお勧めします。
- スマートフォンのカレンダーに返済日をメモしておく
- 返済日の3日前に、リマインダー通知を設定
- 給与が入ったら、即座に返済額を別の口座に移す
追加借入で返す「自転車操業」を避ける
最も危険な罠が「返済ができず、新たに借入をして返す」という自転車操業です。
この状況に陥ると、借金は増え続け、返済は永遠に終わりません。
返済が苦しいときの対処法
支出を削る(固定費・サブスク・交際費の見直し)
返済が困難になった場合、最初にすべきことは支出を削ることです。
削減対象:
- サブスクリプション(有料動画配信、音楽アプリなど)
- 交際費(毎週の飲み会を減らすなど)
- 娯楽費(ゲーム、欲しい物の購入を控える)
- 固定費(携帯プランを見直すなど)
収入を増やす(安全な方法に限定する)
返済に充てるため、収入を増やすことも選択肢です。ただし、以下の危険な方法は避けましょう。
SNS勧誘・高額バイトなど危険案件の見分け方
避けるべき勧誘:
- 「月30万円稼げる」という謳い文句の仕事
- SNSで「簡単に稼げる副業」と勧誘される
- 「商品を買って転売する」という話
- 「個人情報を登録して紹介する」という案件
これらは、詐欺やマルチレベルマーケティング、ヤミ金に引き込まれる罠である可能性が高いです。
家族に相談して一時的に立て替えてもらう
親に相談しづらい気持ちは分かりますが、返済に困った段階で相談することをお勧めします。
理由は、放置すれば状況が悪化し、結果的に家族に大きな迷惑をかけるからです。
債権者へ早めに相談し、返済条件の調整を検討する
返済が困難な場合、貸金業者に相談し、返済条件の調整(返済額の減額、返済期間の延長など)が可能かどうか確認することもできます。
対応してくれる業者も多いので、早めに相談することが重要です。
弁護士・司法書士に相談するメリットと選択肢
債務整理の全体像(任意整理・個人再生・自己破産)
返済が全く困難な場合、債務整理という法的手段があります。
任意整理:弁護士が貸金業者と交渉し、利息をカットして元本を分割返済する。学生向けローンの返済額を減らすことができます。
個人再生:借金を30~50%に減額し、3~5年で返済。多額のローンがある場合に有効。
自己破産:すべての借金をゼロにする。完全に返済不能な場合の選択肢。
受任後の変化(督促窓口の一本化など)
弁護士に相談すると、以下の変化が起きます。
- 貸金業者からの督促が弁護士経由になる
- 本人への直接的な催告が止まる
- 返済額が減少する可能性
就職・生活への影響で誤解されやすい点
「債務整理をすると就職に影響する」という心配がありますが、実際には以下の通りです。
- 債務整理そのものが履歴に残り、採用試験で落ちることはない
- 金融機関や警備業など一部の職業では、信用情報確認が行われることもある
- 信用情報に記録されるのは、債務整理後5~10年間
官報掲載の有無と、周囲に知られる可能性の現実
自己破産や個人再生をした場合、官報(政府刊行物)に掲載されます。ただし、実際には以下の通りです。
- 官報を読む一般人はほぼいない
- 会社の同僚や友人に知られる可能性は極めて低い
- 家族に知られる可能性は比較的高い(弁護士から対応方法の指導あり)
学生ローンでよくある質問(FAQ)
借入上限はどのくらい?
回答:学生向けローンの借入上限は、通常50万円程度です。ただし、年収の3分の1(総量規制)の制限があるため、実際には更に低い場合があります。
奨学金と併用できる?注意点は?
回答:奨学金と学生向けローンの併用は可能です。ただし、両方返済することになるため、返済負担が大きくなります。併用する場合は、合計返済額を確認し、卒業後の返済計画を立てることが重要です。
親にバレずに借りられる?
回答:完全にバレずに借りることは難しいでしょう。返済に遅れれば、親の電話番号に督促電話がいく可能性があります。また、家に帰省時に郵送物が届く可能性も。
滞納すると差し押さえはあり得る?
回答:学生向けローンでも、長期滞納が続けば、給与差し押さえなどの法的措置が取られる可能性があります。ただし、学生のうちに差し押さえまで至るケースは稀です。
債務整理は就職に影響する?
回答:債務整理自体が就職の採用可否に直結することはありません。ただし、金融機関などで信用情報確認が行われる職種の場合、影響がある可能性があります。
まとめ|学生ローンは「借りる前の比較」と「返済不能時の早期対応」が重要
避けたいケースと、検討してもよいケースの線引き
学生向けローンは「やめたほうがいい」ケースと「検討してもよい」ケースがあります。
避けるべきケース:
- 生活費の不足を理由とした借入
- 複数のローンに申し込もうとしている
- 「返済計画を立てていない」状況での借入
- 親に相談せず、隠れて借りようとしている
検討してもよいケース:
- 奨学金や教育ローン等の他の手段をすべて検討した後
- 返済計画が明確に立てられている
- 親の同意がある場合
- 短期的で少額の借入(例:急な医療費など)
どうしても借りるなら守るべき最低限
学生向けローンを利用する場合、以下は絶対に守りましょう。
- □ 正規の貸金業者か確認した
- □ 返済総額(利息込み)を試算した
- □ 返済日を明確に記録し、返済忘れを防ぐ
- □ 返済が困難になった時点で、すぐに相談する
- □ 新たに追加借入をしない
返済に不安があるなら専門家相談を選択肢に入れる
返済に不安がある場合、借りる前に弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。無料相談会や法テラスなど、費用をかけずに相談できる窓口があります。
法テラスの窓口について不安がある場合は、借金に関するよくある質問も確認しておくと、相談前の整理に役立ちます。
「返済できないかもしれない状況で借りる」ことが、最も危険です。借りる前に相談することで、より良い選択肢が見えてくる可能性があります。

