「借金がある。債務整理 住宅ローンへの影響が心配で、家を失いたくない」「債務整理を受けたけど、そのうち住宅ローンを組みたい」「今、住宅ローン返済中だが、他の借金が苦しい」—こうした複雑な状況に直面している方は多いでしょう。
実は、債務整理と住宅ローンの関係は、選択する手続きによって大きく異なります。上手く対応すれば、家を守りながら借金を整理することも可能です。しかし、間違った選択をすると、家を失う可能性もあります。
この記事では、債務整理 住宅ローンへの影響の種類別解説、ローン審査を通すための対策、そして家を守りながら借金を整理する方法を、わかりやすく解説します。
債務整理と住宅ローンの関係を最初に整理
債務整理の種類(任意整理・個人再生・自己破産)と住宅への影響の違い
債務整理には、主に3つの種類があり、住宅への影響は大きく異なります。
任意整理:
弁護士が貸金業者と交渉し、利息をカットして返済額を減らす手続き。住宅ローンは対象外。つまり、住宅ローン以外の借金を整理し、住宅ローンは守ることが可能。
個人再生:
裁判所に申し立て、借金を30~50%に減額する手続き。「住宅ローン特則」を使えば、住宅ローンを維持しながら、他の借金を減額できる。つまり、家を守りながら借金を大幅に減らせる。
自己破産:
借金をゼロにする手続き。ただし、住宅などの資産は処分される。つまり、家を失う可能性が高い。
住宅ローン審査で見られるポイント(信用情報・返済能力・借入状況)
住宅ローン審査では、以下が確認されます。
- 信用情報:過去の返済履歴。延滞や債務整理がないか確認
- 返済能力:月々の給与、家計状況。ローン返済に余裕があるか
- 借入状況:現在の借入(クレジットカード、消費者金融など)の有無と額
- 雇用状況:勤務先、勤続年数。安定性があるか
債務整理をした場合、信用情報に「事故情報」が残るため、審査が厳しくなります。
「ブラックリスト」という言葉の正しい意味(信用情報の登録)
「ブラックリスト」という言葉は、俗語です。正確には、信用情報機関に「事故情報」が登録された状態を指します。
事故情報の例:
- 延滞(返済期限を超過した返済)
- 債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)
- 強制解約(返済困難により契約を終了された)
この情報は、信用情報機関に一定期間(通常5~7年)保管されます。
債務整理(主に任意整理)後に住宅ローンは組めるのか
審査が厳しくなる理由(信用情報に事故情報が残るため)
債務整理後は、信用情報に事故情報が残るため、住宅ローン審査が非常に厳しくなります。
理由:銀行は「この人は過去に返済困難に陥った。また同じ状況になるかもしれない」と判断するからです。
結果として、以下が起こりやすい:
- ローン審査に落ちる可能性が高い
- 仮に通ったとしても、金利が高い
- 借入額が制限される
- 頭金の比率が高く要求される
信用情報はいつまで残る?目安と確認方法
事故情報の保有期間:
- CIC:事故情報は5年
- JICC:事故情報は5年
- KSC:事故情報は7~10年(整理手続の種類による)
完済からの年数が重要になるケース
事故情報が削除される時点は「完済日」からカウントされます。
例:
- 2018年1月に任意整理を開始
- 2021年12月に完済
- この場合、2026年12月に事故情報が削除される(完済から5年後)
つまり、完済が遠いほど、ブラック状態が長く続くのです。
信用情報機関での開示手順の考え方
自分の信用情報を確認するには、信用情報機関に「開示請求」します。
開示請求の方法:
- ウェブ:CIC(https://www.cic.co.jp)で申請
- 郵送:各機関に郵送で申請
- 窓口:直接訪問して申請
費用は約1,000~1,100円。1週間~1ヶ月で開示報告書が届きます。
任意整理した金融機関・系列を避けるべき理由(社内情報の影響)
任意整理した貸金業者や、その系列会社には、社内に情報が残ります。これを「社内ブラック」と言います。
社内ブラックの影響:
- 信用情報から事故情報が削除されても、その会社では永遠に融資してくれない
- 系列会社(同じ銀行傘下の子会社など)でも融資が通りにくくなる
つまり、任意整理した会社では、永遠に住宅ローンが組めない可能性があるのです。
債務整理後に住宅ローン審査を通すための現実的な対策
申込み前にやるべき準備(家計の見直し・借入整理・必要書類の整備)
住宅ローン審査を通すには、入念な準備が必要です。
1. 家計の見直し:
月々の支出を削減し、返済に余裕があることを示す。
2. 借入の整理:
クレジットカードの未払い残高を全て返済。消費者金融から借入がある場合は完全返済。
3. 必要書類の整備:
給与明細、通帳、税務申告書など、返済能力を示す書類を揃える。
頭金を増やして借入額を抑えるメリット
債務整理後のローン審査では、「より少額の借入」が有利に働きます。
頭金を増やすメリット:
- 借入額が少なくなり、審査が通りやすくなる
- 仮に通った場合、金利が低くなる可能性
- 月々の返済額が少なくなり、家計に余裕が生まれる
例:
3,000万円の物件で、300万円の頭金がある場合と、1,500万円の頭金がある場合、後者の方が審査が通りやすいのです。
ペアローン/収入合算を使う際の注意点
相手側の審査・返済負担とのバランス
配偶者の収入を合算してローンを組む場合、以下に注意。
- 配偶者の信用情報も確認される:配偶者に延滞や事故情報がないか確認
- 配偶者の返済負担が増える:配偶者も連帯責任を負う。離婚時にトラブルになる可能性
- 配偶者の今後のローン申請が困難に:ペアローンを組むと、配偶者の単独ローン申請が難しくなる
審査落ちの履歴を残さない(多重申込を避ける)
複数の銀行に同時に申し込むことは避けましょう。
理由:複数の審査落ちの履歴が信用情報に残り、「この人は危険」というイメージが強まるから。
推奨される申込み方法:
- 1つの銀行に申し込み、結果が出るまで待つ
- 落ちた場合は、3ヶ月待ってから、別の銀行に申し込む
- 複数申し込みは、最低でも6ヶ月以上の間隔を置く
クレジットヒストリーを積み直す方法
延滞しない支払い習慣の作り方
債務整理後、新しい「信用」を作り直す必要があります。
信用を回復するステップ:
1. クレジットカードを作る:
事故情報が削除されたら、クレジットカード(できれば流通系カード)を申し込む。デポジット型なら審査が通りやすい。
2. 小額利用を続ける:
毎月少額(5,000~10,000円程度)利用し、期日に必ず返済する。
3. 返済実績を作る:
1~2年間、延滞なく返済を続けることで、「この人は返済能力がある」という信用を作る。
少額利用で信用を回復する考え方
大額利用は避け、小額利用を継続することが重要です。
理由:
- 返済忘れのリスクが減る
- 利息負担が少ない
- 銀行が「安定性」を判断しやすい
信用情報が回復する前に住宅ローンを組みたい場合の考え方
基本的に難しい理由と例外が起こり得る条件
事故情報が残っている間の住宅ローン審査は、基本的に厳しいです。
ただし、例外が起こり得る条件:
- フラット35(住宅金融支援機構)は、信用情報をあまり重視しないため、通りやすい
- 地方銀行や信用金庫は、都市銀行より審査が緩い傾向
- 返済能力が非常に高い(月々の給与が十分)場合
家族名義で組む場合の注意点
名義・資金負担・贈与の論点(一般的な注意)
家族名義でローンを組む場合、以下に注意。
- 贈与税:資金の出所が曖昧だと、贈与税の対象になる可能性
- 名義と実質の不一致:実は自分が返済しているのに、名義が家族だと、後々トラブルのもと
- 家族への負担:家族が連帯責任を負うため、家族の信用情報にも影響
連帯保証人になれるか/なれないかの基準イメージ
債務整理後、連帯保証人になることは難しい場合が多いです。
理由:金融機関は「この人が返済困難に陥った時、本当に保証できるのか」と懐疑的だから。
住宅ローン返済中に債務整理を検討する場合の注意点
住宅ローン自体を任意整理できない理由とリスク
住宅ローン自体を任意整理することはできません。
理由:住宅ローンは「担保付きローン」(家を担保にしている)であり、貸金業者の通常の債権と異なるから。任意整理の対象は、担保のない「無担保債権」(クレジットカード、消費者金融など)に限定されます。
住宅ローンを任意整理しようとするリスク:
- 銀行は「返済を求める」と主張し、交渉は成立しない
- 返済を続けなければ、期限の利益を失い、一括返済を求められる
- それでも返済できないと、競売にかけられる
延滞から競売までの流れ(一般的なイメージ)
住宅ローンを延滞した場合、以下のような流れになります。
- 3~6ヶ月の延滞:銀行から催告される
- 6ヶ月超の延滞:期限の利益を失い、一括返済を求められる
- 一括返済できない:銀行が競売手続きを開始
- 競売により、自宅が売却され、その代金で返済される
住宅ローン以外の借金を任意整理するメリット
住宅ローン返済中であっても、住宅ローン以外の借金(クレジットカード、消費者金融など)を任意整理することは可能です。
毎月返済の圧縮で住宅ローンを守る考え方
他の借金を任意整理するメリット:
- 月々の返済額が減る
- その分、住宅ローンの返済に充てられる
- 住宅を守りながら、借金を整理できる
例:
住宅ローン月8万円 + クレジットカード月5万円 + 消費者金融月3万円 = 合計月16万円
クレジットカードと消費者金融を任意整理すると、月8万円の利息がカットされ、月々の返済は大幅に減るのです。
借り換えを考える前に押さえるべき点(新規審査になる)
住宅ローン返済中に、より低金利での借り換えを考える場合、注意が必要です。
- 新しい審査が行われる:借り換えは「新規ローン」扱いなため、新たに審査される
- 債務整理の情報が見られる:信用情報に事故情報が残っていれば、審査に落ちる可能性
- 現在のローンが延滞状態なら、まずそれを解決する:延滞状態での借り換えは、ほぼ不可能
住宅ローンの返済が厳しいときの具体的な対処法
まず金融機関に相談する(返済条件変更の可能性)
住宅ローン返済が困難になった場合、最初にやるべきことは「銀行に相談する」ことです。
銀行ができる対応:
- 返済期間の延長:返済期間を延ばすことで、月々の返済額を減らす
- 金利引き下げ:特定の条件下で、適用金利を引き下げる可能性
- 一時的な支払い猶予:3~6ヶ月間の支払いを待つ
返済期間延長のメリット・デメリット
メリット:
- 月々の返済額が減る
- 家を失わずに済む
- 信用情報への影響がない(自発的な相談のため)
デメリット:
- 返済期間が延びるため、総利息が増える
- 返済が長期化する
自宅を残したいなら個人再生を検討する
住宅資金特別条項(住宅ローンを維持する発想)
個人再生には「住宅資金特別条項」という、住宅を守るための制度があります。
仕組み:
- 住宅ローンは、その返済条件のまま返済を続ける
- 住宅ローン以外の借金(クレジットカード、消費者金融など)は、30~50%に減額
- 減額された借金を、3~5年かけて返済
メリット:
- 自宅を失わない
- 他の借金が大幅に減る
売却・住み替えも含めた選択肢(家計再建の視点)
任意売却という考え方(一般論)
住宅ローンが返済できない場合、家を売却して、ローン返済に充てるという選択肢もあります。
- 通常売却:市場価格で売却し、差分を家計に充てる
- 任意売却:ローン残高が売却価格より高い場合、銀行の同意を得て売却。残債は分割返済
よくある質問(債務整理×住宅ローン)
債務整理後、何年で住宅ローンは組めますか?
回答:信用情報から事故情報が削除されるまでの間は、審査が非常に厳しいです。目安は完済から5~7年後。ただし、フラット35や地方銀行なら、事故情報が残っている間でも、通る可能性があります。
借り換えはできますか?
回答:事故情報が残っている間は、借り換え審査は非常に厳しいです。事故情報が削除されてから申し込むことをお勧めします。
保証人・連帯保証人になれますか?
回答:事故情報が残っている間は、保証人になるのは難しいです。金融機関は「返済困難に陥った人」を保証人として認めません。
配偶者に影響はありますか?(ペアローン・収入合算含む)
回答:配偶者本人の信用情報に直接影響は出ません。ただし、ペアローンの場合、配偶者も連帯責任を負うため、その後のローン申請で不利になる可能性があります。
まとめ|債務整理 住宅ローンの不安は早めに専門家へ
状況別の最適解は異なる(返済中/これから購入/すでに延滞)
債務整理と住宅ローンの問題は、現在の状況によって、最適な対応が異なります。
【返済中の場合】
住宅ローン以外の借金を任意整理し、月々の返済を減らす。または、個人再生で住宅を守りながら借金を減額。
【これから購入予定の場合】
信用情報が回復するまで待つ。その間に、クレジットヒストリーを積み直す。
【既に延滞がある場合】
早急に相談が必要。個人再生で家を守るか、任意売却を検討するか、最適な道を選ぶ。
弁護士・司法書士に相談するメリットと使い分けの目安
債務整理 住宅ローンの問題は、複雑です。一人で判断すると、最悪の選択をしてしまう可能性があります。
弁護士に相談するメリット:
- 最適な債務整理手続きを提案してもらえる
- 住宅を守るための戦略を立てられる
- 銀行との交渉を代理してもらえる
- 競売を回避するための対策が見つかる
弁護士 vs 司法書士:
- 弁護士:すべての債務整理手続きに対応可能。訴訟にも対応
- 司法書士:簡易的な債務整理に対応。ただし140万円以上の案件は対応不可
今、債務整理 住宅ローンについて不安を抱えているなら、早急に弁護士または法テラスに相談してください。家を失わないための対策は、早ければ早いほど選択肢が増えます。

