「借金の連帯保証人になっている人がいるが、自己破産 連帯保証人に迷惑がかかるのか」「連帯保証人が親である場合、どうしたらよいのか」—こうした悩みを抱えている方は多いでしょう。
実は、自己破産で免責されるのは「本人の返済義務」だけであり、連帯保証人の返済義務は消えません。その結果、請求が連帯保証人に移ることになります。
この記事では、自己破産 連帯保証人に起きること、請求の流れ、そして迷惑を最小化する対策を、わかりやすく解説します。
自己破産と連帯保証人の関係を最初に整理する
自己破産で免責されるのは「本人の返済義務」
自己破産の免責により、本人の返済義務は消えます。つまり、本人は借金を返す必要がなくなります。
これが、自己破産の最大のメリットです。
連帯保証人の返済義務は免責されない理由
しかし、本人が免責されても、連帯保証人の返済義務は消えません。
理由:
- 連帯保証人は独立した債務者であり、本人とは別の契約関係
- 本人が破産しても、連帯保証人の債務は法律的には変わらない
- 債権者は「本人か保証人か」のどちらかに請求できる権利を持つ
つまり、本人が破産すれば、債権者は「では保証人に請求しよう」ということになるのです。
請求が連帯保証人へ移る基本的な考え方は、連帯保証人への請求が発生する仕組みもあわせて確認すると理解が深まります。
保証人と連帯保証人の違い(責任範囲・請求のされ方)
保証人:
本人が返済できない場合に限り、保証人が返済責任を持つ。債権者は「まず本人に請求してください」と言える。
連帯保証人:
本人と同等の責任を持つ。債権者は本人に請求しようと、いきなり連帯保証人に請求しようと、自由。つまり、より重い責任。
ほとんどの場合、連帯保証人が採用されます。
自己破産後に連帯保証人へ起きること(請求の流れ)
債権者が連帯保証人へ請求するタイミング
本人が自己破産 連帯保証人を申し立てると、債権者は「この人からは回収不可能」と判断し、連帯保証人に請求をします。
典型的なタイミング:
- 本人が自己破産を申し立てた直後
- 官報に破産手続開始決定が掲載された後
- 債権者の詳細な調査により、連帯保証人の存在を確認した後
請求される金額の考え方(元金・利息・遅延損害金)
連帯保証人に請求される金額:
- 元金:本来の借入額
- 利息:通常、本人の滞納期間分
- 遅延損害金:年20%程度(返済期限を超過した分)
計算例:
本人が100万円を3年間返済しなかった場合:
- 元金:100万円
- 利息:約50万円
- 遅延損害金:約60万円
- 合計:約210万円
元金より大きな額が請求されることもあるのです。
督促を放置するとどうなるか
裁判(支払督促・訴訟)に進むケース
連帯保証人が督促を無視し続ると、債権者は法的手段に出ます。
進む可能性が高い:
- 支払督促(簡易裁判所)
- 訴訟(簡易裁判所または地方裁判所)
いずれにせよ、判決を取られることになります。
判決後の強制執行(給与差押え等)の可能性
判決を取られた後、債権者は「強制執行」に移ります。
強制執行の例:
- 給与差し押さえ:月々の給与の一定額が差し押さえられる
- 銀行口座差し押さえ:銀行の口座残高が凍結される
- 不動産差し押さえ:持ち家があれば差し押さえの対象に
給与差し押さえが実行されると、勤務先に知られてしまいます。
連帯保証人が支払えない場合の現実的な選択肢
分割交渉・返済計画の立て直し
連帯保証人が直接、債権者と交渉することが可能です。
交渉内容の例:
- 「月々5万円ずつ返済したい」という分割案の提示
- 「当分返済できないが、1年後から返済開始したい」という猶予の交渉
ただし、債権者が応じるかどうかは、債権者の判断次第です。
連帯保証人側も債務整理が必要になるケース
任意整理で調整できる可能性
連帯保証人が複数の借金を抱えている場合、「任意整理」を検討できます。
任意整理のメリット(保証人側):
- 弁護士が債権者と交渉し、利息をカット
- 月々の返済額を減らす
- 返済計画を立て直す
つまり、保証人側も返済が楽になる可能性があります。
任意整理を選ぶ場合の注意点は、任意整理と保証人に関する注意点もあわせて押さえておくと安心です。
自己破産を検討すべき状況の目安
保証人側も自己破産を検討すべき状況:
- 請求額が200万円以上で、返済見通しが立たない
- 保証人自身も複数の借金を抱えている
- 給与が低く、月々の返済が不可能に近い
この場合、保証人も自己破産を選択せざるを得ません。
支払いが難しいときの現実的な対処の整理として、連帯保証人が支払えない場合の対処法も参考になります。
連帯保証人に迷惑をかけないためにできること
破産申立て前に連帯保証人へ連絡すべき理由
連帯保証人に迷惑をかけないための最重要ポイントは「事前に知らせる」ことです。
理由:
- 突然の請求がくるより、事前に準備ができる
- 家族間の信頼を守るため
- 連帯保証人も対応策を考える時間が得られる
伝える内容のポイント(事実・見通し・今後の段取り)
連帯保証人に伝えるべき内容:
1. 事実:
「自己破産を申し立てる」「その結果、あなたに請求が来る」という事実を正直に伝える。
2. 見通し:
「いつ頃請求がくるか」「請求額はおおよそいくらか」を説明。
3. 今後の段取り:
「自分はどう対応するのか」「家族で相談したいのか」という提案。
感情的な対立を避ける伝え方(第三者・弁護士の活用)
感情的な対立を避けるコツ:
- 責め合いを避け、「事実」と「見通し」に焦点を当てる
- 相手の怒りや悔しさを受け入れる準備をする
- 必要に応じて、弁護士を同席させる(より客観的な説明ができる)
自己破産後の収入をどう扱えるか(返済に回す考え方)
本人が自己破産しても、免責後の収入は本人のものです。
ただし、道義的には:
- 連帯保証人が請求されている場合、本人も「月々いくら返済に回すか」を決める必要がある
- 「自己破産したから、これで終わり」というスタンスではなく、「保証人をサポートする」という姿勢が重要
任意整理を検討すると迷惑を抑えられる場合
連帯保証人がいる借金を「対象から外す」発想
実は、「自己破産」ではなく「任意整理」を選ぶことで、迷惑を大幅に減らせる場合があります。
発想の転換:
- 連帯保証人がいない借金だけを任意整理する
- 連帯保証人がいる借金は、本人が返済を続ける
こうすることで、保証人への負担を減らせるのです。
任意整理が向く人・向かない人
任意整理が向く人:
- 月々わずかでも返済能力がある
- 利息がカットされれば、返済が続けられる見通しがある
- 連帯保証人への迷惑を最小化したい
向かない人:
- 完全に返済能力がない
- 月々の返済が不可能に近い
- 複数の連帯保証人がいる場合
やってはいけない行動(トラブルを招くポイント)
保証人付きの借金だけ先に返すリスク(偏頗弁済)
「連帯保証人に迷惑をかけたくない」という理由で、保証人付きの借金だけを先に返すことは、法的な問題になります。
その理由:
- 「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として、破産法で禁止されている
- 他の債権者との公平性を損なう
- 破産手続開始決定後に判明すれば、免責が許可されない可能性
正しい対応:
全ての借金を同等に扱う。どの借金が優先というものはない。
連帯保証人に内緒で進めようとする危険性
内緒で進めるリスク:
- 突然の請求により、信頼が崩れる
- 家族関係が取り返しのつかないほど悪化する可能性
- 連帯保証人が準備の時間を持てず、給与差し押さえなどの状況に直面する
督促や裁判書類を放置するデメリット
連帯保証人が請求されても、督促を無視すると:
- 給与差し押さえに進みやすくなる
- 勤務先に知られてしまう
- さらに強硬な回収手段がとられる
正しい対応:
督促状が届いたら、すぐに債権者または弁護士に相談する。
よくある質問(不安を解消するQ&A)
連帯保証人にバレずに自己破産できる?
回答:理論的には「バレずに進める」ことは可能ですが、おすすめしません。理由は、官報に掲載される、または信用情報に記録されるため、いずれにしても判明する可能性が高いから。また、連帯保証人に直接知らせる方が、関係を守ることができます。
住宅ローン・奨学金・家賃滞納でも連帯保証人に請求される?
回答:はい、請求されます。ただし、以下の特殊性があります。
- 住宅ローン:担保付きローンのため、住宅が売却される可能性。連帯保証人にも請求
- 奨学金:連帯保証人(通常は親)に請求されます。これが多くの家族トラブルの原因
- 家賃滞納:家主が連帯保証人に請求する権利あり
家族が連帯保証人の場合はどう考える?
回答:最も難しいケースです。理由は、家族関係が破壊される可能性があるから。しかし、以下の対応が重要:
- 可能な限り早期に、事実を伝える
- 「なぜそうなったのか」を正直に説明
- 「今後どう対応するのか」を示す
- 必要に応じて、家族カウンセリングの検討
連帯保証人が複数いる場合の負担はどうなる?
回答:複数の連帯保証人がいる場合、債権者はどの保証人にいくら請求するかを自由に決められます。結果として、最初に請求された保証人の負担が大きくなる可能性があります。この場合、「連帯保証人同士で分担する」という協議が必要になります。
弁護士に相談するメリットと相談前に準備すること
最適な手続き選択(自己破産・任意整理など)の整理ができる
弁護士に相談することで、以下が整理できます。
- 「自己破産が本当に最適か」を判断してもらえる
- 「連帯保証人がいる借金を対象外にする任意整理」など、創意工夫のある方法を提案してもらえる
- 保証人への影響を最小化する戦略を立てられる
手続き全体の流れや押さえるべき要点は、自己破産手続の基礎知識もあわせて確認すると整理しやすくなります。
連帯保証人への影響を見据えた進め方を設計できる
- 「いつ保証人に知らせるべきか」の最適なタイミングを提案
- 「保証人に何を説明すればよいか」の具体的な文言を準備
- 「保証人が請求されたときの対応方法」をあらかじめ計画
相談時に揃えるとよい情報(借入先・契約書・保証人情報など)
相談時に用意すべき情報:
- 全ての借入先(貸金業者、銀行など)
- 各借入の残額と返済期日
- 連帯保証人がいる借金の特定(どの借金に誰が保証人になっているか)
- 連帯保証人の職業・勤務先・連絡先
- 借入契約書(できれば)
- 月々の収入と生活費
まとめ:自己破産は連帯保証人へ請求が移る前提で、早めの対策が重要
結論(連帯保証人の義務は残る/迷惑を減らす3つの柱)
自己破産で最も大切なこと:連帯保証人の返済義務は残る、という事実を受け入れることです。
迷惑を減らすための3つの柱:
1. 事前連絡:
破産申立て前に、必ず連帯保証人に説明する。この一点が、その後の信頼を左右します。
2. 最適な手続き選択:
自己破産だけが選択肢ではない。任意整理など、保証人への影響を最小化する方法の検討が重要です。
3. 免責後の行動:
「免責で全て終わり」ではなく、保証人が請求されている場合、可能な限りのサポートをする気持ちが重要です。
行動の優先順位(相談→方針決定→連絡→手続き)
実際に動く場合は、以下の優先順位を守ってください。
ステップ1:弁護士に相談
連帯保証人への影響を考慮した、最適な手続きを検討。
ステップ2:方針決定
自己破産にするのか、任意整理にするのか、など決定。
ステップ3:連帯保証人に連絡
事実、見通し、今後の段取りを説明。
ステップ4:手続き開始
弁護士に申立てを依頼し、手続きを開始。
最後に重要なメッセージ:
連帯保証人がいることで、自己破産をためらう人も多いでしょう。しかし、「迷惑をかけること」をことさら避けようとして手続きを先延ばしにすることが、最も大きな迷惑になることもあります。早期に弁護士に相談し、連帯保証人への影響を最小化する戦略を立てることが、結果的に「最も責任ある対応」につながるのです。

