自己破産を検討している人が最も気になることの一つが、「自己破産 クレジットカードはどうなるのか」という問題です。クレジットカードがなくなると生活はどう変わるのか、いつから新しいカードを作ることができるのか、そうした不安は当然です。
本記事では、自己破産とクレジットカードの関係を整理し、支払い義務がどうなるのか、使用可否はどう変わるのか、そして代替決済手段の選び方まで、わかりやすく解説します。自己破産後の人生設計を現実的に考えるための「実用的な知識」を提供します。
あわせて、公的な一次情報として法テラスの自己破産に関するよくある質問も確認しておくと、制度全体の理解がより整理しやすくなります。
自己破産とクレジットカードの関係を最初に整理
自己破産とクレジットカードの関係を理解するには、まず「クレジットカードとは何か」を改めて認識することが重要です。
クレジットカード利用=「カード会社への借金」という位置づけ
クレジットカードで買い物をすること、つまり「後払い」をすることは、カード会社から「お金を借りて、その後で返す」という「借金」と同じ扱いです。
クレジットカード利用の仕組み:
- カード会社があなたの代わりに商品代金を店舗に支払う
- あなたはカード会社に対して、その代金を「債務(借金)」として負う
- 毎月、あるいは一括で、その債務をカード会社に返済する
つまり、クレジットカードの未払い残高は「カード会社への借金」であり、自己破産 クレジットカードの債務は、自己破産の対象となる「債務」です。
自己破産手続きの流れとカードへの影響が出るタイミング
自己破産の手続きが進む中で、クレジットカードへの影響が出るタイミングは、各段階で異なります。
申し立て前/申し立て後/免責確定後で変わること
【申し立て前】
- クレジットカード利用はまだ「法的には可能」だが、危険性がある
- 理由:「支払えない前提で使う」と判定されると、免責が下りない可能性
【申し立て直後】
- 申し立てと同時に受任通知が債権者(カード会社)に送付される
- 受任通知を受け取ったカード会社は、カードを強制解約する
- その後のカード利用はできなくなる
【破産手続開始決定後】
- 既に強制解約済みのため、カードは使えない状態が続く
- ただし、信用情報に「破産」という情報がまだ登録されていない段階
【免責確定後】
- クレジットカードの支払い義務が法律上、消滅する
- ただし、信用情報機関に「破産情報」が登録され、新しいカードを作ることはできない
- この「作れない状態」は通常5~7年続く
自己破産するとクレジットカードの支払いはどうなる?
自己破産が成立した場合、クレジットカードの支払い義務はどうなるのか、その核心を説明します。
免責が認められた場合の支払い義務
自己破産で「免責許可決定」が下りた場合、クレジットカードの未払い残高に対する支払い義務は、法律上、完全に消滅します。
これが意味すること:
- カード会社への返済義務がない:免責決定の後は、一円も返済する必要がない
- カード会社から請求が来ることはない:カード会社は「代金返済請求」をすることが法的にできなくなる
- 給与差し押さえなど強制執行の対象外:カード会社は、あなたの給与や預金を差し押さえることはできない
クレジットカード会社は、この免責決定を受けると、あなたの口座を債権者リストから削除し、請求業務を終了します。
免責が認められないケースの注意点
自己破産を申し立てても、必ず「免責」が認められるわけではありません。「免責不許可事由」がある場合、免責が下りないことがあります。
免責不許可事由の代表例とよくある誤解
免責不許可事由の代表例:
- 詐欺的な借入れ:返すつもりがないのに借金をした、虚偽の申告で信用を得た
- 浪費・ギャンブル:申し立て前の数年間、継続的にギャンブルや高級品購入に多額を使った
- 財産隠し:銀行口座を隠したり、現金を隠匿した
- 虚偽の陳述:裁判所への申告で明らかな嘘をついた
- 前回免責から7年以内の再申立て:直前の自己破産から短期間での再申立て
よくある誤解:
- 「クレジットカード利用 = 浪費?」
- 誤解:生活費や医療費などをやむを得ずカードで払った場合、それは免責不許可事由にはならない
- 「返済できなくなった時点で詐欺?」
- 誤解:事情の変化で返せなくなったことは、「詐欺的な借入れ」には当たらない
- 「カードの利息を払い続けた = 誠実?」
- 現実:利息を払い続けていても、元本が減らず、結果として返済困難に陥ることは珍しくない。これは免責不許可事由にはならない
実務での判断:現在の実務運用では、よほどの悪質性がない限り「裁量免責」(裁判官の判断で免責を認める)が適用され、免責が下りることがほとんどです。
自己破産後にクレジットカードは使える?使えない?
自己破産の手続きが進む過程で、クレジットカードはどのように使えなくなるのか、具体的に説明します。
強制解約になる理由と具体的な影響
自己破産を弁護士や司法書士に依頼すると、その直後に「受任通知」がカード会社に送付されます。この通知を受け取ったカード会社は、その後のアクション決定として「カードの強制解約」を実行します。
強制解約が実行される理由:
- 法的なリスク:「自己破産を申し立てている人」がカードを使い続けることは、カード会社にとって法的リスク
- 二重の焦げ付きを避けるため:免責決定前に新たな利用があると、その新しい分の請求が複雑になる
- 標準的な対応ルール:ほぼすべてのカード会社が同じルールで対応
強制解約による具体的な影響:
- カードが使えなくなる(物理的には持っていても機能しない)
- 今後、そのカード会社との新規カード発行を受ける可能性は大幅に低下
- カードローン機能も利用不可
- 分割払いやリボ払いも使えない
家族カードは使えるのか(使う場合のリスク)
自己破産者が「家族カード」を持っている場合、その家族カードの扱いについて質問が出ます。
家族カードの法的な位置づけ:
- 家族カードは、主契約者(クレジットカード契約を結んでいる人)に紐づいているもの
- 自己破産者が「家族カードのみを持っている」(主契約ではない)場合、理論上は「その家族カードだけを止める」ことは可能
- ただし、実務上、カード会社は「同じアカウント内のすべてのカードを止める」傾向がある
使う場合のリスク:
- カード会社への不信感:免責後のクレジット復帰を目指す場合、「自己破産中に家族カードを使い続けていた」という事実が、その後の審査に悪影響を与える可能性
- 配偶者のクレジット履歴に傷がつく:配偶者が主契約者の場合、配偶者のクレジット履歴にも「自己破産世帯の一部」という扱いが及ぶことがある
- 家族トラブル:「勝手にカードを使い続けた」という認識を配偶者に持たれるリスク
裁判所判断に影響しうる利用パターン
注意:自己破産申し立て後、受任通知後にクレジットカードを使い続けた場合、「免責不許可事由」として判定される可能性があります。特に以下のパターンは危険です。
- 「支払い不可能な状態なのに、カードで生活費を稼ぐ」という行為:これは「詐欺的な借入れ」と判定されることもある
- 「高額商品をカードで購入し続ける」という浪費パターン:「返す見込みがないのに買い物を続けた」と解釈される
- 「複数の人のカードを無断で使う」という行為:詐欺罪に問われる可能性もある
申し立て前にクレジットカードを使うのは危険?
自己破産を検討している人の中には、「どうしても生活費が足りない」「今月のクレジットカード支払いができない」という状況に置かれている人が多くいます。こうした時、カードをさらに使うことは賢明か、危険か、考えてみます。
「支払えない前提の利用」が問題になりやすい理由
「この借金は返せないまま自己破産する」という前提で、新たにクレジットカードを使うことは、免責不許可事由に該当する可能性が高い。
理由:
- 「詐欺的な借入れ」と判定される:返す見込みがないのに借入れ(カード利用)を続けることは、カード会社を騙す行為と判断される
- 「浪費の継続」と判定される:申し立て直前まで不要な支出を続けていたと見なされることがある
- 「誠実性の欠如」の証拠:裁判官は「この人は本当に反省しているのか」という点を見定める材料として、申し立て直前のカード利用行動を注視する
やむを得ず使う前に検討すべき代替策
生活費が足りない状況では、クレジットカードを使う前に、以下の代替策を検討すべきです。
生活費の見直し・支払い方法変更の優先順位
優先順位1:支出の削減
- 月々のサブスクリプション(動画配信、音楽配信など)の解約
- 外食を減らし、自炊に切り替え
- 携帯電話やインターネットの契約プランを見直す
- 保険の見直し(本当に必要な保障のみに絞る)
優先順位2:家族からの借入れ
- 親に「当面の生活費を貸してほしい」と相談
- 配偶者の給与で切り乗り切る
- 一時的に親族に支援を求める
- 重要:借りたことを記録に残す(後のトラブル防止)
優先順位3:公的制度の利用
- 生活保護:失業中や月収が極めて低い場合
- 失業給付:失業中の人
- 生活福祉資金貸付:社会福祉協議会による低利貸付
- 緊急小口資金:一時的な生活困難への支援(返済要件あり)
優先順位4:給与前払いサービス
- 勤務先が提供する「給与前払いサービス」の利用(利息なし)
- 給与ファクタリング(ただし利息が高めな点に注意)
最後の選択肢:これらをすべて検討しても、なおクレジットカード利用が必要な場合は、「申し立ての延期」を弁護士に相談することが重要です。「今、本当に自己破産すべきのか」を改めて判断する必要がある場合もあります。
自己破産の免責後、いつからクレジットカードを作れる?
自己破産の最大の心配事は、「その後の人生でクレジットカードが使えるようになるのか」という点かもしれません。その目安を説明します。
信用情報に登録される期間の目安(5〜7年)
自己破産の情報は、信用情報機関に「破産情報」として登録され、一定期間、新しいクレジットカードを作ることができません。
登録期間の目安:
- CIC(株式会社シー・アイ・シー):5年間(補足:シー・アイ・シーの公式案内)
- JICC(日本信用情報機構):5年間
- KSC(全国銀行協会):10年間(ただし、破産から7年経過で再度記載されなくなることもある)(補足:全国銀行協会の公式案内)
実際には、「破産から5~7年経つと、大多数のカード会社の審査に通り始める」というのが実務の目安です。
その理由は以下の通りです:
- CICやJICCの破産情報が消えれば、大手のカード会社はそれを根拠に審査を進める
- KSCの情報は銀行ローン用であり、クレジットカード審査では参照されることが少ない
- 破産から時間が経つと、「返済実績」(支払いを遅延せず続けた記録)が評価される
信用情報が消えても通らないことがある理由
ただし、信用情報機関の「破産情報が消える=必ずカード審査に通る」わけではありません。いくつかの理由があります。
理由1:審査基準の多様性
- カード会社は信用情報だけで判断していない
- 「年収」「勤続年数」「職業」など、複数の要素を総合判断
- 破産から時間が経っていても、これらの基本情報が不安定なら審査に通らない
理由2:勤続年数の影響
- 多くのカード会社は「勤続年数が1年未満」の申し込みを避ける傾向
- 破産後、転職を繰り返していれば、その履歴が悪影響
理由3:その他のローン申し込み履歴
- クレジットカード以外のローン(住宅ローン、自動車ローンなど)の申し込み履歴
- 短期間に複数のローン申し込みをしていれば、「経済的に困窮している」と判定される可能性
同じカード会社(社内ブラック)の可能性
「社内ブラック」とは、その企業(カード会社など)が独自に保有する「与信拒否リスト」のことです。
自己破産したカード会社の場合:
- 破産者が新しいカード発行を申し込んでも、その会社の社内ブラックに載っていれば、審査に通る可能性は「ほぼゼロ」に近い
- 信用情報機関の情報が消えても、カード会社内の独自リストには「永遠に」載り続けることもある
対策:
- 自己破産の相手方だったカード会社への新規申し込みは避ける
- 別のカード会社に申し込む:自己破産と無関係なカード会社なら、社内ブラックに載る可能性は低い
- 破産から十分な時間をおく:実務上、7年以上経つと「社内ブラック」の効力が薄れることもある
自己破産後にクレジットカードがなくても困らない?代替決済の選び方
クレジットカードが使えない5~7年間、生活を回すための「代替決済手段」がいくつかあります。実は、これらの手段をうまく使えば、クレジットカードがなくても生活は成り立ちます。
口座振替・コンビニ払いで対応できる支払い一覧
家賃・ローン返済
- 銀行の口座振替で自動引き落とし可能
- 大家さんや貸付機関に「自動振替の希望」を伝えるだけ
公共料金(電気・ガス・水道)
- 口座振替で自動支払い
- あるいは、毎月コンビニで支払い用紙を入手して払う
携帯電話料金
- 口座振替が一般的
- あるいは、キャリアの店舗で「請求書払い」を依頼
インターネット料金
- 口座振替で対応
- 一部のプロバイダは銀行振込にも対応
保険料
- 生命保険、自動車保険は口座振替が一般的
- あるいは、月払いではなく「年払い」に変更し、銀行振込で対応
実は意外と対応できる:多くの支払いが「口座振替」で自動化できるため、わざわざクレジットカード決済を必要としない場合が多いのです。
デビットカードの特徴(即時引き落とし)
デビットカードは、「クレジットカードの代替手段」として有用です。
デビットカードの仕組み:
- 銀行口座に紐づいており、使用時に即座に口座から引き落とされる
- 「先にお金を持っている状態で、そこから引き落とす」という仕組み
- 「借金」ではなく「現金支払い」と同じ
メリット:
- 信用調査がない:銀行口座さえあれば発行される
- 自己破産経歴が関係ない:信用情報とは無関係
- 口座残高の範囲内しか使えない:自動的に支出管理ができる
- ネット購入に対応:多くのオンラインショップで使用可能
デメリット:
- ポイント還元がない、または少ない:クレジットカードと比べて還元率が低い
- 一部のサービスで使えない:ホテル宿泊やレンタカーなど、事前の利用額確保が必要な場面では難しいことがある
- 海外での利用に制限:国内で利用に限定されることが多い
プリペイドカードの特徴(チャージ範囲で利用)
プリペイドカードは、「先にお金をチャージしておいて、そのお金で買い物をする」という仕組み。
主なプリペイドカード:
- VISA プリペイドカード:VISAマークのある店舗で幅広く利用可能
- Google Play ギフトカード:デジタルコンテンツ購入に特化
- Amazon ギフトカード:Amazon での購入に限定
- 交通系プリペイド:Suica、Pasmo など、交通利用と一部の店舗決済
ビザブランドの各種カードの種類はビザのカード一覧でも確認できます。
メリット:
- 審査なし:自己破産経歴に関係なく発行可能
- 予算管理が簡単:チャージした金額しか使えないため、財布管理が明確
- 紛失時のリスク軽減:チャージ額分だけの損失に限定
デメリット:
- チャージの手間:定期的にお金をチャージする必要がある
- 使える場所が限定される場合がある:VISAでも一部の店舗では使えないことも
- 有効期限がある:使わないまま期限を迎えると失効
チャージ式QR決済の特徴(予算管理との相性)
PayPay、LINE Pay、楽天 Pay などの「QR決済」は、スマートフォンで支払いをする現代的な手段です。
仕組み:
- アプリに銀行口座やコンビニでチャージしたお金を入れておく
- 店舗で QR コードをスマートフォンで読み込み、支払い
- 即座に残高から引き落とされる
メリット:
- 信用調査がない:携帯電話があれば利用可能
- ポイント還元がある場合も:キャンペーン期間には3~5%還元されることも
- スマートフォン一つで決済完結:財布を持ち歩く必要がない
- 日々の使用額の履歴が自動記録:家計簿が自動作成される
デメリット:
- 利用対象店舗が限定される:まだすべての店舗で対応しているわけではない
- スマートフォン依存:充電切れやシステム障害で使えなくなる
- 高齢層には利用しづらい:シニア世代は操作が難しいと感じることも
使い分けの目安(ネット決済・公共料金・生活費)
ネット通販での購入
- 第一選択:デビットカード(クレジットカードと同様に利用可能)
- 第二選択:プリペイドカード(VISAプリペイドならほぼ全店対応)
- 第三選択:Amazon ギフトカード(Amazon で購入の場合)
公共料金・家賃などの固定支出
- 口座振替で自動化(最も効率的)
- 変更できない場合は銀行振込またはコンビニ払い
日常の買い物(食料品、日用品)
- 第一選択:QR決済(PayPay、LINE Pay など)→現金化の手間がない
- 第二選択:デビットカード(利用店舗が多い)
- 第三選択:現金(最も安全)
ホテル、レンタカーなど事前の利用額確保が必要な場面
- デビットカード(口座残高があれば対応可能)
- 事前に現金で支払うことを相談
- 家族・友人のクレジットカードを借りる(ただし、トラブルリスクあり)
自己破産後にクレジットカードを新しく作るためのポイント
自己破産から5~7年経過し、信用情報から破産情報が消えたら、いよいよ新しいクレジットカードの申し込みが可能になります。ただし、闇雲に申し込むのではなく、戦略的に対応することが重要です。
免責確定後、一定期間は待つのが基本
「免責確定 = すぐにカードを申し込める」ではありません。
理由:
- 信用情報に「破産」が記載されている間は申請しても落ちる:信用情報機関の情報が消えるまで待つことが前提
- 破産情報が消える時期がカード会社によって異なる:複数の信用情報機関を参照するカード会社もあり、タイミングのズレがある
- あまり早く申し込むと「申し込み履歴」が記録される:短期間に複数落ちると、その申し込み履歴自体が悪評価される
目安:
- 免責確定から最低3年:この期間は申し込みを避け、代替決済で生活
- 5年以上経過したら検討開始:この時期から、慎重に申し込みを進める
収入を安定させるための準備(勤務形態・勤続年数の考え方)
クレジットカード審査では、「返済能力」を判定するために「安定した収入」を重視します。
カード会社が見る項目:
- 勤務形態:正社員 > 契約社員 > 派遣 > フリーランス(一般的な評価)
- 勤続年数:目安として1年以上が基準(1年未満は審査に不利)
- 年収:目安として年間150万円以上が基準(より高いほど審査に有利)
準備のポイント:
- 職を転々としない:破産後に同じ会社で3年以上勤続していることが理想
- 年収が上昇する職を選ぶ:申し込み前の数年間で年収が上がっていると、審査に有利
- 副業で収入を増やす:本業に加えて副業がある場合、申告可能な副業収入として記載できる
キャッシング枠をゼロにするメリット
クレジットカードの申し込みでは、通常「ショッピング枠(買い物用)」と「キャッシング枠(現金借り入れ用)」の2つが提供されます。
キャッシング枠をゼロ(申請なし)にするメリット:
- 審査が通りやすくなる:キャッシング審査は別枠で厳しいため、ショッピング枠だけなら審査基準が低い傾向
- 返済リスクを減らす:キャッシングの利息は高く(年利15~18%程度)、再度の多重債務を防ぐ
- 破産経歴者への不信感を減らす:「キャッシングを避ける = 借金を回避する気がある」という姿勢を示す
申し込み時の記載例:
「キャッシング枠は不要です。ショッピング枠のみの発行でお願いします。」
多重申し込みを避ける(申込履歴の影響)
「申し込みブラック」という言葉があります。これは、短期間に複数のクレジットカードやローンに申し込み、信用情報に「申し込み履歴」が増えてしまう現象です。
申し込みブラックのリスク:
- 一度申し込むと、信用情報に「申し込み履歴」が記録される(通常3~6ヶ月記録される)
- 複数の申し込み履歴があると「経済的に困窮している」と判定される
- その後のカード審査が軒並み落ちやすくなる
対策:
- 申し込みは1社に絞る:最初は「通りやすい」と思われるカード会社1社のみ
- 落ちた場合は、最低3~6ヶ月待つ:その間に申し込み履歴が消えるのを待つ
- 複数社への同時申し込みは絶対に避ける:「お金に困っている」という悪いシグナルになる
申し込み前のセルフチェック項目
クレジットカード申し込み前に、これを確認してください:
- 破産から最低3年経っているか?(理想は5年以上)
- 現在の勤務先に最低1年以上勤続しているか?
- 年収が申し込み基準(150万円以上)を超えているか?
- 過去3~6ヶ月に他社への申し込みはないか?
- 現在、延滞のない返済実績があるか?(賃貸料金、携帯料金など)
- 申し込みキャッシング枠をゼロにすることを決めているか?
自己破産以外でクレジットカード滞納を解消する方法
「自己破産」は最後の手段です。その前に、クレジットカード滞納を「別の方法」で解決できないか、検討する価値があります。
任意整理の特徴(利息カット交渉・分割返済)
「任意整理」は、弁護士や司法書士がカード会社と交渉し、以下を実現する手続きです:
- 利息をカット:現在までの利息に加え、今後の利息も支払わない
- 元本を分割返済:元本を3~5年で分割して返済する計画を立てる
- 遅延損害金を免除:支払い遅延に対する追加料金をカット
効果の例:
例:消費者金融A社から150万円借入(年利18%)
通常のリボ払いで返済:月2万5千円×約7年 = 約210万円の返済
任意整理後:月2万5千円×60ヶ月 = 150万円の返済(利息なし)
差額:約60万円の利息削減
メリット:
- 返済を続けるため、将来の年金受給に影響しない
- 職業制限がない:弁護士、警察官などの職業も続行可能
- 自宅を残すことができる:住宅ローンがあっても任意整理対象から除外可能
- 手続きが比較的簡潔:自己破産ほど時間と書類が必要でない
デメリット:
- 信用情報に記録される:自己破産と同じく5~7年の期間、新規クレジットカードは作れない
- 返済義務は残る:元本は払い続ける必要がある
カードを残せる可能性と、更新時に止まるリスク
任意整理は「対象とするカード」を選別できることが特徴です。つまり、「A社は整理する、B社は整理しない」という対応が可能です。
ただし注意点:
- 整理対象に含めないカード会社は、信用情報を見て判断する:信用情報に「任意整理中」と記載されれば、そのカード会社も強制解約する傾向がある
- カードの更新時期に止まる:例えば、A社のカードの更新時期に、「この顧客は他社で任意整理中」と気づかれれば、更新時に止まることがある
個人再生の特徴(元本含めた大幅減額と返済計画)
「個人再生」は、裁判所の許可を得て、借金を大幅に減額する手続きです。
減額の仕組み:
- 借金総額に応じて減額率が変わる:例えば、100万円~500万円の借金は「5分の1」に減額
- 3~5年で分割返済:減額後の金額を3~5年かけて返済
効果の例:
例:総借金額300万円
個人再生で減額:60万円(5分の1)
分割返済:月1万円 × 60ヶ月 = 60万円
削減額:240万円
メリット:
- 大幅な借金減額が可能:自己破産並みの減額効果(ただし元本は残る)
- 自宅を残せる:住宅ローンを払い続ければ、自宅は守られる
- 職業制限がない
デメリット:
- 年収要件がある:安定した収入が必要(給与所得者が対象)
- 手続きが複雑:再生計画の作成、裁判所への提出など手続きが多い
- 信用情報に記録される
カードが強制解約になる点と向いている人
個人再生でも、自己破産同様「信用情報機関への登録」により、新規カード作成は困難になります。
個人再生が向いている人:
- 借金が高額だが、自宅は守りたい(住宅ローンがある)
- 職業制限を避けたい(弁護士、警察官など)
- 将来の収入が見込める(給与所得者で勤続年数が長い)
- 完全なリセットではなく「減額+返済」を選ぶ
弁護士・司法書士に相談するメリットと選び方
自己破産、任意整理、個人再生のいずれを選ぶにしても、弁護士や司法書士の判断は非常に重要です。
最適な債務整理を選べる(自己判断のリスクを減らす)
一般人が「自分には自己破産が最適」と判断することは、実は危険です。
理由:
- 各手続きの要件や効果を完全に理解していない:任意整理で十分な場合も、自己破産を選んでしまう可能性
- 個々の事情に応じた判断ができない:自宅の有無、収入の安定性、配偶者の存在など、多くの要因が影響
- 手続き中のトラブル対応ができない:債権者からの急な請求、裁判所からの追加資料請求など、対応が必要な場面で適切に対処できない
弁護士・司法書士に相談すれば:
- あなたの状況に最適な手続きを提案してくれる:自己破産が必要か、任意整理で十分か、個人再生の方が有利か、的確に判断
- 手続きのリスクと利益を明確に説明してくれる:「クレジットカードが使えなくなる期間」「職業制限の有無」など、具体的に説明
- 手続き中のトラブル対応を一任できる:債権者からの連絡、裁判所への対応など、相談者の代わりに対応
手続きの負担軽減と、対応範囲の違い
弁護士と司法書士では、対応できる範囲に違いがあります。
| 対応内容 | 弁護士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 任意整理 | ◎ 対応 | ◎ 対応 |
| 個人再生 | ◎ 対応 | △ 対応(書類作成のみ、裁判所対応は弁護士に依頼が必要な場合) |
| 自己破産 | ◎ 対応 | ◎ 対応 |
| 借金額140万円超えの任意整理 | ◎ 対応 | ✗ 対応不可 |
| 複数債権者との交渉 | ◎ 対応 | ◎ 対応(140万円以下の場合) |
司法書士の上限(140万円)と弁護士が対応できる領域
司法書士には「140万円の上限ルール」があります。
ルールの内容:
- 1つの債権者から140万円を超える借金がある場合、司法書士は対応できない
- 複数の債権者がいても、「いずれかの債権者への借金が140万円を超える」なら、司法書士は対応不可
例:
- 消費者金融A社:150万円(上限超え)← 司法書士は対応不可
- クレジットカード会社B社:80万円(上限以下)
- 銀行C社:70万円(上限以下)
- この場合、全体の手続きを司法書士に依頼できない
弁護士を選ぶべき場合:
- 借金総額が大きい、または1社への借金が140万円を超える
- 複数の手続き(個人再生など)を組み合わせたい
- 裁判所での手続きが複雑になりそう
よくある質問(Q&A)で不安を解消
自己破産の主なデメリットは?
Q: 自己破産するとどんなデメリットがありますか?
A: 主なデメリットは以下の通りです。ただし、多くは一時的な影響です。
- 信用情報に登録される(5~7年):新規クレジットカード、ローンが組めない
- クレジットカードが使えない期間が長い:代替決済が必須になる
- 職業制限がある(数ヶ月~1年):弁護士、警察官、保険募集人など一部職業に就けない期間
- 官報に掲載される:公開情報となるが、実務上ほとんどの人は見ることはない
- 引っ越しや持ち家の売却に制限がある時期がある:管財事件の場合、管財人の許可が必要
重要:これらのデメリットは時間経過で解消されます。「人生が終わる」わけではなく、「一定期間、生活パターンが変わる」という認識の方が正確です。
5年以内にカードを作れる可能性はある?
Q: 破産から3年しか経っていませんが、カードを作ることはできますか?
A: 理論上は「ゼロではない」ですが、現実的には難しいです。
- 大手カード会社:信用情報に破産情報が記載されている間は、ほぼ審査落ち
- 中小のカード会社や流通系カード:独自の審査基準を持つため、若干通る可能性あり
- 社会的信用が高い人(公務員など):勤続年数が長く、年収が高い場合、例外的に承認される場合も
現実的には、「破産から5年以上経つ」まで待つことをお勧めします。
ブラックリストから抜けたか確認する方法
Q: 自分が「ブラックリストから抜けた」かどうかを確認できますか?
A: はい、信用情報を開示請求して確認できます。
信用情報の開示請求(CIC/JICC/KSC)の考え方
信用情報機関は3つあります。各機関に開示請求することで、自分の信用情報を確認できます。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- 管轄:クレジットカード、ショッピング関連
- 破産情報の記載期間:5年
- 開示請求方法:窓口(東京、大阪など)、郵送、インターネット
- 手数料:1,000円(郵送の場合)
JICC(日本信用情報機構)
- 管轄:消費者金融、ローン関連
- 破産情報の記載期間:5年
- 開示請求方法:郵送、インターネット
- 手数料:1,000円
KSC(全国銀行協会)
- 管轄:銀行、銀行系ローン
- 破産情報の記載期間:10年(ただし、実務上は7年経過で削除されることもある)
- 開示請求方法:郵送のみ
- 手数料:1,000円
確認の手順:
- 各機関の公式ウェブサイトにアクセス
- 開示請求フォームを取得
- 本人確認書類(免許証など)のコピーと手数料を同封
- 郵送で申し込み
- 数日~数週間で「信用情報報告書」が届く
- 「破産」という記載がなければ、その機関からはブラック情報が削除されている
タイミング:カード申し込み前に一度確認しておくことで、審査通過の可能性を事前に判断できます。
まとめ|自己破産 クレジットカード:「支払い・審査・生活」を現実的に立て直す
自己破産とクレジットカードの関係は、多くの人にとって不安の源泉です。しかし、正しく理解すれば、「思ったほど悲劇的ではない」ことが分かります。
カード利用の結論(使えない時期/作れる目安)
【申し立て直後~免責確定まで】
- クレジットカードは使えません(強制解約)
- この期間は3~6ヶ月が目安
【免責確定後~信用情報から削除されるまで】
- クレジットカードは作れません(信用情報に「破産」が記載)
- この期間は5~7年が目安
- 代替決済(デビットカード、プリペイド、QR決済)で生活
【信用情報から破産情報が削除された後】
- クレジットカード申し込みが可能
- ただし、審査通過には「安定した収入」「勤続年数1年以上」などの条件が必要
- 最初は1社のみ申し込み、複数申し込みは避けるべき
代替決済で生活を回しながら信用回復を進める
5~7年間、クレジットカードなしで生活することは、十分可能です。
その間のポイント:
- 口座振替で固定支出を自動化:家賃、公共料金など
- デビットカードをメイン決済ツールに:ネット購入、日常の買い物
- QR決済で日々の支出を管理:ポイント還元も活用
- 現金での支払いを組み合わせる:最も安全な決済手段
この生活パターンを5~7年続けることで、「お金の使い方を意識的になる」という副次効果もあります。
迷ったら早めに専門家へ相談する基準
以下のどれかに該当したら、迷わず弁護士・司法書士に相談してください:
- 借金の総額が200万円を超えている
- 月々の返済が月収の30%以上
- 「自己破産」か「任意整理」か「個人再生」か判断できない
- クレジットカード以外にも複数の借金がある
- 既に返済が滞っており、催告状や差し押さえ予告が届いている
- 配偶者や家族に相談しているが、意見が分かれている
- 公式な自己破産手続きの流れを理解したい
初回相談は無料の事務所が多いです。「費用がない」という理由で相談を避ける必要はありません。

